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<FRF'06>モグワイ、大自然でみせた音の芸術

<FRF'06>モグワイ、大自然でみせた音の芸術

3日間の疲れも楽しい思い出へと変わり、それぞれが最高のファイナルを
迎えようとオーディエンスが異様な盛り上がりを見せる3日目の夜。
いよいよ大トリ。グリーン・ステージではハッピー・マンデイズのライヴが始まる頃、
ホワイト・ステージのトリとしてノイズの芸術家モグワイが登場した。
会場には溢れんばかりの人が集まり「1歩前へ進んで下さい」とのアナウンスが流れる。
入場制限ギリギリの状況だ。

今回のライヴは、最新アルバム『ミスタービースト』を中心としつつも、
『ハッピー・ソング・フォー・ハッピー・ピープル』などその他のアルバムからも
数々の名曲を披露。気づけば彼らもデビューして9年だ。
選曲が見せる楽曲の幅が、彼らの歴史の深さを物語っていた。

ライヴ・ハウスという閉鎖された空間で、許容量以上の轟音が所狭しと
響き渡るモグワイのライヴも素晴らしい。
だが、大自然という無限の許容量の空間で行なうライヴは一味違い、
最近の作品の芸術的傾向も合わさって、非常に美しいライヴとなった。
限りなく空へと広がり続ける彼らの音は、どこまで広がりを見せても
バランスを崩すことなく、完璧な形で空へと消えた。
時には幾重にも重なった轟音が鳴り響き、まるで空に音のアーチを描いたように
ホワイト・ステージ全体を包み込み、その異次元空間の中でオーディエンスは
完全に音に陶酔した。これも緻密に計算された精巧な彼らの音楽ゆえ。
緻密な計算の先に繰り広げられるダイナミックなサウンドは、
自分が何処にいるのかさえも忘れさせるほどの迫力だ。

当初期待されていた日本のバンドenvyとの共演は実現しなかったが、
アンコール1曲目の「ダイヤル;リベンジ」では、
スーパー・ファリー・アニマルズのヴォーカル、グリフが登場するというサプライズも。
しかし、お祭り騒ぎなプレイではなく、グリフもバンドもひたすらに演奏を追及した
とてもストイックなステージとなった。
興奮すればするほど、その興奮を集中力へと注ぎ込むメンバー。
ビクともせずに演奏に全てをつぎ込むバンドに対比して、
トリップ寸前まで音に酔いしれ興奮をあらわにするオーディエンス。
ラインナップに新人が目立った今年のフジロックで、時間的にも大トリを務めた
モグワイのステージは、大トリに相応しく最高峰の技術とセンスで
オーディエンスを魅せる圧倒的なライヴであった。

【以上BARKSより】